前谷白山神社 拝殿おどり  (岐阜県郡上市白鳥町  前谷白山神社)

みなさん今回の記事は、私個人の思いでいろいろ語らせていただきます。あくまでも私が思っていることなので、確証があるわけではない話も多々ありますがお許しください。
 
 
まず「拝殿おどり」とは、以前「白鳥神社の拝殿おどり」の記事でも触れましたが、国選択の無形民俗文化財です。ここ大事です(笑)。何故文化財に指定されているのか?みなさん考えてください。わかりますよね。昔からのおどりが形を崩さず今に残っている(多少は変わったと思いますが)その重要性から指定されているんです。こんな事を何故書いたかというと、最近「拝殿おどり」とは何ぞや?知らない踊り手が増えてきたということです。「拝殿おどり」には「拝殿」のルールがあります。踊るときに手を肩より上には上げない(大きな動きをしない)。下駄は強く踏み込まない(静かにおどる)。たったこれだけです。これだけのルールが守れない(知らない)方が多いのです。確かに街場では私などもハッチャケて踊りますが、それが楽しいからとそのまま「拝殿」ではおどってはいません。一応守るべきルールは守り伝統ある形を崩さないようにしたいと思っておどっているんです。地元の方たちはみなさん来てくれるからと目を瞑ることが多いです。でもそれに甘えていいのでしょうか?私が話を聞いた昔からおどっておられる方などは「これは拝殿おどりではない。」と嘆いておられました。かといって楽しむなとはいいません。ハッチャケたければ街場で心いくまでハッチャケればいいと思います。で「拝殿」に来たらそこだけでしか踊れないおどりを楽しめばいいのではないでしょうか?「拝殿」にはお囃子はなく、踊り手が音頭をとりながら踊ります。私も下手ながら毎回音頭をとります。これは「拝殿」でしかできない楽しみだからこそやっているのです。今年この前谷の白山神社では、8月16日に「拝殿おどり」本番をむかえました。でもその前に14日、15日と地元の方たちが前夜祭を行い私もそこに参加させていただきました。その時の「拝殿」は正に「拝殿おどり」そのものでした。目を瞑ると、音頭とりの高い声と、床を踏む下駄のゴトリ、ゴトリという低い音。そして目を開ければそこには切子灯籠の下で輪になり踊る人影。もう鳥肌がたつほど感動しました。これが本当の「拝殿おどり」の姿ではないのでしょうか?
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この「拝殿おどり」は白鳥おどりの原点だと言われています。ここからは私の考え、ひとりごとなんですが、実はこの地方の踊りは白山信仰、白山文化と深いかかわりがあると思うんです。つまり白鳥おどりは北から流れ込んだ文化、だからどことなく泥臭さがあるのではないのかと。(北陸地方が泥臭いということではないですよ)そして郡上おどりも同じ起源から出ているのではないか?と思うんです。しかし郡上八幡室町時代から開けた町だったので、その後南からの文化が入ってきて白鳥と袂をわけたのではないか?と思うんですね。何が言いたいのか、同じ郡上市に残るふたつの踊り、どちらも見る踊りではなく参加して踊る踊りだといわれています。が最近同じ踊る踊りでも「郡上おどり」は南文化つまり伊勢神宮の文化というか「伊勢音頭」などの影響を強くうけた見せる要素が入った踊りで、「白鳥おどり」は北文化つまり白山を信仰する山の民が伝えた本当の意味での踊る踊りなんだと感じるようになったのです。そういう意味で郡上おどりは手の角度、形にこだわりがあります。もちろん白鳥でもありますが、「拝殿おどり」つまり原点のおどりになると極端な言い方をすれば手なんかどうでもいい、足の運びだけで踊るといのが基本なのです。ここ前谷地区にはここでしか踊らない「彦根」という踊りがあります。そして「拝殿おどり」の始めに必ず踊られる「場所おどり」があります。このふたつの踊りには手は一切使いません。その事からもそう思うようになったんだと思います。何を言いたいのか整理できなくなってきました(笑)。
 
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それでは最後に街場で踊る曲、「拝殿」で踊る曲を記しておきます。
 
街場で踊られる曲、「源助さん」「シッチョイ」「八つ坂」「老坂」「神代」「猫の子」「世栄」「さのさ」
 
「拝殿」で踊られる曲、「場所おどり」「源助さん」「シッチョイ」「八つ坂」「ヨイサッサ(老坂)」「ドッコイサ(神代)」「エッサッサ(世栄)」「さのさ」「よいとそりゃ」「ツーレロ」「ストトン」「チョイナチョイナ」「彦根(前谷限定)」
 
尚、「拝殿おどり」に来たからといって全て踊れるとは限りません。それと踊りの名前が変わるように踊り自体も変わります(前に書いたように)し音頭のかえし文句も変わります。街場とは違う白鳥おどりを体験したければ是非一度踊りに来てみてください。但しルールは守ってね(笑)。それでは私は次のお祭りに行って来ます。