有爾中天王祭  (三重県多気郡明和町有爾中  有爾桜神社)

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遅くなりましたが、今回は7月12日の日曜日に三重県多気明和町の有爾中(うになか)で行われた天王祭で踊られる「天王踊り」を紹介します。この天王踊りは、踊り手が首から下げた羯鼓(小太鼓)を打ち鳴らし踊る羯鼓踊り(かんこおどり)で、羯鼓踊り三重県の各所に伝わっています。普通羯鼓踊りというと、お盆の頃に踊られる「念仏踊り」や「精霊踊り」といった寺踊りを思い浮かべる方が多いと思いますが、ここ有爾中では桜神社の天王祭に奉納される宮踊りなのです。(この例は非常に珍しく、シャグマを着けて踊る羯鼓踊りとしては、唯一のものだと教えていただきました。)


有爾中の天王祭は疾病追放、家内安全、五穀豊穣を祈るもので、午後1時より桜神社の境内で羯鼓踊りが行われる。この踊りはシャグマと呼ばれる馬の毛で作られた被り物をした大人と、花笠を被った小学校4~6年生の子供、綾子と呼ばれる青い着物を着た小学校1~3年生の子供たちによって踊られるもので、江戸中期から当地に伝わり、一時明治41年に中止になったが、昭和57年に保存会を結成し、復活させたものである。お祭りに使用するシャグマや腰蓑、羯鼓はこの時新たに製作している。


当日は午前11時に神社近くの公民館に集まり、大人はシャグマ、腰蓑を着け、子供たちは花笠や着物に着替える。この時全員腰にザイと呼ばれる小刀のような物を射す。(聞くのを忘れたのだが、たぶん縁起物として身に着けるのだと思う。)その後、サシバ、ヤナギ、法螺貝、綾子、子供の羯鼓、大人の羯鼓、白衣、法被の順で神社まで練っていく。そして神社到着後、午後1時から午後2時半頃まで休憩を数回入れながら羯鼓踊りが奉納されるのである。


奉納される羯鼓踊りは次の通り。

「入込み」 ひょっとこが棒振りを行い羯鼓たちを先導する。
「流(立)願」 本当はこの二曲が「儀礼的」なもので本殿前で踊られた。
以降の曲は「遊興的」なもので、神社前の広場で踊られた。
「世の中」「きよまくま」「三ツ願」「回りズーテン」「綾踊り」「立願」がそれである。

尚、「世の中」と「きよまくま」の間には「ヤナギ取り」(ザイ取りとも言われる。)が行われ、それまで拝殿前に飾ってあった傘鉾(ヤナギ)を広場の中央に据え、その傘鉾に飾られた四色の紙を貼った棒を縁起物として参拝者が奪い合うのである。(当然、私…